状況に合わせた優先的な対処法と、専門業者に見てもらうべき緊急度を適切に判断して、安全第一でいきましょう。皆様ご安全でありますように。
発火を防ぐための注意点(予防)
基本原則(常に意識)
- 「過負荷(オーバーロード)」「劣化(経年・損傷)」「不適切な使用」が主な原因。これらを避ける。
- 電気は見えない危険。少しでも異常(焦げ臭い・熱い・火花・チリチリ音)を感じたら、すぐ対処する。
配線・コンセント周り
- コンセントの周辺が熱くなっていないかを定期確認。熱い→要点検。
- 壁のコンセントに焦げ跡・変色・ひび割れがあれば使用中止、専門業者へ。
- 差し込みが緩い(グラグラ)だと接触不良で発熱→即交換。
- 古い家屋やリフォーム歴がある場合、配線の容量不足(ブレーカーが落ちやすい等)を疑う。専門電気工事士に診てもらう。
- コンセントにホコリやペットの毛が溜まらないよう清掃を定期的に(電源切ってから)。
家電・機器の使い方
- 電気ストーブ、電気毛布、アイロン、電子レンジ、ドライヤーなど高消費電力機器は専用コンセントで。延長コードや薄い電源タップは不可。
- 電力の目安:家庭の電圧は100V。複数機器を同じ口で使ってブレーカー容量(A)を超えないように。連続使用は80%ルールを目安に(安全マージン)。
- 延長コードやタップは「一時的」用途に限定。常設配線の代わりに使わない。複数のタップを重ねる(デイジーチェーン)禁止。
- 電源コードに過度なねじれ・折れ・かかと・被覆破れがあれば交換。見えない内側まで傷んでいることがある。
- 濡れた手でプラグを抜き差ししない。コンセント周りに水をこぼさない。浴室・洗面所には防水コンセント(漏電遮断器)を設置。
バッテリー(リチウムイオン等)
- モバイルバッテリーやノートPC、スマートフォンは純正または信頼できるメーカーの充電器を使う。安価で規格不明の充電器は危険。
- 充電中は通気の良い場所で行う。布団やクッションの上で充電しない(放熱できない)。
- 膨張、異臭、過熱があれば充電を止め、メーカーに相談。膨張バッテリーは可燃・発火の危険あり。
- 電動自転車・電動ツールなど大容量バッテリーは、充電場所と機器の取扱説明を厳守し、専用保管(可燃物から離す)を。
コンセント・タップ・サージプロテクタ
- サージ保護付きの過電流遮断型(ヒューズ/ブレーカー内蔵)タップを選ぶ。
- タップは定格(AまたはW)を必ず確認。高消費電力機器には対応不可のものが多い。
- タップからの発熱、焦げ臭さ、変色があれば廃棄・交換。
ブレーカー・安全装置
- 漏電遮断器(ELB/GFCI)、短絡/過電流保護(配電盤のブレーカー)は必須。古い住宅は設置・更新を検討。
- アーク(微小スパーク)を検出して遮断するAFCI(アーク故障遮断器)の導入を検討(可能であれば)。
- ブレーカーは家族に場所と切り方を教えておく。
設置・環境・日常管理
- プラグ周りに可燃物(紙・布・段ボール等)を置かない。電気機器の近くに燃えやすいものを積まない。
- 調理器具の周囲は油や紙を放置しない。換気を良くして油の飛散がコンセントにかからないように。
- ペットによるコード噛み対策(保護カバー、ケーブル整理)を行う。
- 定期的に(半年〜1年)家中の電気設備点検を専門業者へ依頼。特に古い配線や時々不具合がある箇所。
発火の早期兆候(見逃さないで)
- 焦げ臭いにおい(プラスチックや電気機器の匂い)。
- コンセントやタップが熱い(触れて熱い)。
- プラグ差込口での火花・スパーク音・チリチリ音。
- スイッチを入れると瞬間的に火花が出る。
- 電源を入れていないのに、ブレーカーが頻繁に落ちる。
- 照明がちらつく、消える、または異常な動作。
兆候を感じたらすぐに電源を切り、コンセントからプラグを抜く(安全にできる場合)。作業は必ず乾いた手で、必要ならブレーカーを落としてから。
発火・着火時の迅速な対応(行動フロー)
1) 小さな火(初期段階)で安全に電源を切れる・火元が小さい場合
- 安全を最優先。自分や家族の安全が第一。煙が多い/火が大きい→すぐ避難・119へ連絡。
- 可能なら主電源(分電盤のブレーカー)を切る。電源を安全に切れない場合は無理をしない。
- ブレーカーの切り方:分電盤のフタを開け、該当回路または主幹を「切」にする。触る前に手が乾いていること。
- 初期の小さい火なら、消火器(家庭用のABC乾燥粉末消火器)や消火スプレーで消火を試みる。使用法は以下(PASS)。
- Pull(ピンを抜く)
- Aim(火元の下方にノズルを向ける)
- Squeeze(レバーを握る)
- Sweep(左右に掃くように消す)
- 消火後も電源は切ったまま、換気して火元周辺を冷ます。専門業者点検まで機器は使用しない。
2) 電気系が原因の火(通電中・電源を切れない・火が広がっている)
- すぐに119(消防)へ通報。住所、建物の場所、火の規模、人数の有無を伝える。
- 家族・同居人を誘導して迅速に建物から避難。ドアは閉めて煙の拡散を抑える。
- 消火器は使わない方が安全な場合がある(電源がつながったままの電気火災)。消火器の使用は自分が安全に使える範囲のみ。無理は禁物。
- 水は通電中の電気火災には厳禁(感電の危険)。ただし、電源が完全に切れていることが確実なら状況次第で可。一般家庭では「水をかけない」が原則。
- ドアを閉め、避難し、119到着を待つ。外で集合場所へ。
3) 人に火傷・感電の負傷がある場合
- 火傷:冷水で10〜20分冷却。破れた水ぶくれは触らない。
- 感電:まだ通電している場合は近づかない。通電停止後に心肺停止や意識消失があれば、119へ連絡し胸骨圧迫(必要なら)を行う。救急通報で指示を仰ぐ。
消火器の種類と電気火災で使えるもの
- ABC(乾燥粉末)消火器:家庭用で汎用性が高く、電気火災にも使える(“非導電性”ではないが広く推奨)。
- CO₂(二酸化炭素)消火器:電気機器周りの消火に適する(導電リスクが低い)。ただし冷却効果は低く再発火に注意。
- 水系(粉末以外)は通電中の電気火災には使わない。
- リチウムイオン電池火災は厄介:消火器で一時的に消えたように見えても内部発火が続くことがある。安全が確保できない場合は避難→消防に任せる。
消火器の使い方(家庭内で覚えておく:PASS)
- P(ピンを抜く)
- A(ノズルを火元に向ける)(火の下端に向ける)
- S(レバーを握る)
- S(左右に掃くように掃射)
消火器の使用距離や持ち方はラベルの指示に従う。使用後は必ず消火器の点検・補充を。
事後対応
- 安全が確認できるまで電源は入れない。被害を受けたコンセント・配線・機器は絶対に自己判断で再使用しない。
- 電気工事士(有資格)に点検・修理を依頼。焼損・発熱箇所は交換が基本。
- 保険(家財・火災保険)を確認して連絡。写真で被害状況を記録しておく。
- 必要ならガス会社や建物管理者にも連絡。
- 再発防止のため、原因(過負荷・接触不良・劣化・バッテリー等)を明確にし、対応策を講じる(配線更新、コンセント交換、AFCI導入など)。
定期点検・維持管理の推奨スケジュール
- 毎月:屋内の目視点検(焦げ跡、変色、タップの異常、コード損傷)。煙探知器のボタンテスト。
- 半年〜1年:家庭用消火器の目視点検(圧力計・ピンの有無)。タップや延長コードの交換時期確認。
- 1年:煙探知器の電池交換(電池式は年1回、リチウム内蔵式もメーカー指示を確認)。
- 5〜10年:煙探知器本体の買い替え(メーカー推奨年数に従う)。古い配線は専門業者の点検を。
- 機器購入時:必ず適合規格(PSEなど)を確認。
家庭での設備アップグレード推奨(優先度付き)
- 煙感知器(各階・寝室) — 優先度高。リンクして鳴るタイプが望ましい。
- 漏電ブレーカー / 漏電遮断器(浴室・洗面所・屋外コンセント) — 必須。
- AFCI(アーク故障遮断器)導入 — 電気火災予防として有効(可能なら検討)。
- 消火器(ABCまたはCO₂)1台以上:キッチン+寝室付近に配置。
- 耐熱・高出力用の専用回路:電気ストーブ、IH、エアコンなどのために。
家族での対策
- 家族全員で避難経路・集合場所・119のかけ方を共有しておく。
- 小さな子どもや高齢者がいる場合は火元から遠ざける・避難補助の役割分担を決めておく。
- 年に1回は消火器の使い方訓練(模擬)と、ブレーカーの切り方確認をやっておくと安心。
